2024年10月13日日曜日

Outsiders (2023-) 感想: メタに"Crisis"を描いた異色作

  Batwoman (バットウーマン、ケイト・ケイン)がレギュラーとして登場するOutsiders誌を読みました。ヒーロー活動から距離を起き、世界に潜む謎を解くOutsidersたちの活躍が描かれます。  

【基本情報】
Writer: Collin Kelly, Jackson Lanzing
Art by: Robert Carey, Jackson Lanzing, Adriano Lucas, Roger Cruz, Valentina Taddeo, Tomeu Morey
発行年 2023-2024年


公式サイトはこちら (#1)。

まず、筆者はこの作品を一話一話ばらばらに買っていって読んだのですが、これから読むならとにかく一気に読むのをお勧めします。


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 ヒーロー活動にいささかうんざりしていたケイト。同じようにヒーロー活動から距離をおいていたBatwing (バットウィング、ルーク・フォックス)に誘われ、Drummerという人物も含めた3人で世界の謎を解く冒険を始める。Outsidersと名乗る彼らのチームは何を見つけるのかーーというのがあらすじです。

 まず、筆者はこの作品を一話一話ばらばらに買っていって読んだのですが、これから読むならとにかく一気に読むのをお勧めします。最初は一話完結物で世界の怪異について描いていくのかな――と思いきや、実は各話に伏線が仕込まれていたのであった、という感じの作品なので一話ごとに一か月空けてよむペースだと、前の方に描いてあった伏線を確実に忘れます。そもそも通常のヒーローコミックとは異なるストーリー展開になるので、伏線があっても気づきにくいのです。

 さて。

 物語を読んでいて徐々にわかってくるのは、この作品で初めて登場するキャラクターであるDrummerがかつて住んでいた世界がCrisisにより崩壊したらしいことです。彼女はケイトとルークを巻き込んで何をしたいのか? というのが物語の見どころになってきます。

 以下、ネタバレを含む感想です。

 

 非常に、メタなお話でした。劇中の登場人物がDCコミックスの世界にたびたび起きるCrisisの存在に気づき、読者の存在にも薄々気づいているという話ですから。そんなわけで、「君の話はどうやって終わったの? 打ち切り?」なんて笑えるセリフも出てきます。

 Crisisで崩壊してしまった世界から放り出されて生き延びたDrummerが最後それなりに納得していたっぽいのは良かったのですが、しかしこれは完全にフィクションの話とも割り切れないのですよね。

 突然の災害で、今まで自分がのんびり生きていた世界が一瞬にして壊れてしまうということはそんなに珍しくない話になってきてしまっている最近ですから。コミックの中のキャラクターたちにCrisisが襲い掛かるように、自分の生活が一変しまったとして。元の状態に戻るためのわずかな可能性があればそれに賭けてしまうかもしれないなあと思いました。