2024年1月21日日曜日

Justice League of America (2006-2011): The Rise of Eclipso 感想 -「終わり」を選べる贅沢-

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。


 2006年から2011年まで連載されていたJustice League of Americaの実質第10巻目にして最終巻にあたるThe Rise of Eclipsoを読みました。

 前巻に引き続き、Dick Grayson (ディック・グレイソン、この作品ではバットマン)やDonna Troy (ドナ・トロイ)ら、通常のJustice League時のメインメンバーであるブルース・ウェインやダイアナの子供世代にあたるヒーローたちが強敵を前に協力して戦います。

 

【基本情報】
Written by: James Robinson
Art by: Brett Booth, Daniel Sampere, Jesús Merino
Cover by: Brett Booth
発行年 2012年


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 封印されていたヴィラン、Eclipsoが蘇る。Eclipsoは洗脳能力を武器に、はじめは影を操るヒーローたち、さらにそのほかのヒーローたちを次々に自分のしもべへと変えていくのだった。事態がある程度進行してからJustice League of Americaは異変に気づき、Elipsoを止めようとする。しかし、チームの中で最も強力なエネルギーを持つJadeもEclipsoの洗脳能力に屈し、チームは追い詰められるのだった――というのがあらすじです。

 

 何と言っても、敵役であるEclipsoの圧倒的な強さが見どころです。手際よく次々とヒーローたちを洗脳していきます。Justice League of Americaを助けにきたはずのヒーロー軍団すらも洗脳され、これはもう絶体絶命――というところまでチームは追い詰められていきます。そこから果たしてどのような形でチームが逆転していくのが見どころだと思います。

 とはいえ、本作で最も印象的だったのはラストでJustice League of Americaが解散となることでした。DCコミックス社の事情に触れれば、この後にNew52が始まって設定がリセットされるのでこのチームはここでおしまいということになるのですが作中ではそんなことを言うわけもなくそれぞれが自分の人生の様々な事情と向き合うためにJLAの活動をやめ、解散ということになります。

 彼らの親世代が作るJustice League of America (New52以降はJustice League)は基本的に常設のチームで、これはもちろん人気のチームだから常にコミックを発売できるようにしておきたいという出版側の事情があるものだと思いますが、彼らのように大きなことを成し遂げた後に解散ということを選べるチームもいいなと思いました。

 特にこのチームの軸となっているのがディックとドナの二人で、読者は彼らが子供時代から一緒のチームで頑張ってきているのを見ているので、「若い頃から一緒にやって来た二人のたどり着いた地点がここなんだな」としみじみできて良かったです。

 彼らみたいに「チーム辞めよう! 解散!」とできるのは親世代と比べるとある種の贅沢でもあるな、と思いました。