2023年9月18日月曜日

DC Pride 2023 (2023) #1 感想 -LGBTQIA+中心でも、話はそれだけではなく-

 ※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

  2023年度のDC Prideを読みました。6月のPride Monthに合わせて、LGBTQIA+のキャラクターたちを主役にした短編集です。今年で3冊目の企画になっています。

  3冊目ともなると、主役はLGBTQIA+のキャラクターでも描かれることは性的マイノリティならではの葛藤とは限らず、いつものヒーローコミックに収録されていそうな短編では? というストーリーも目立ちました。これ、ストーリーで性的マイノリティであることを主軸に据えようとするとどうしてもお話がマンネリになるからかもしれません。短編なので一つ一つのストーリーで登場人物をあまり増やすこともできないですし、工夫も限られますし……ということかなと思いました。

  なお、今回の作品ではRenee Montoya(レニー・モントーヤ)が登場する短編はありません。 

【基本情報】※この記事で取り上げる作品のスタッフのみ記載しています。
Writer: Jeremy Holt
Artist: Andrew Drilon
Letterer: Lucas Gattoni
発行年 2023年


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 Batwoman (バットウーマン、ケイト・ケイン)と、Xanthe Zhou (最近Spirit Worldで活躍している新キャラクター)を主役にした作品"LOST & FOUND"が印象的でした。バットウーマンはレズビアンで、Xanthe Zhouは調べたところノンバイナリーらしいのですが、ストーリーはそうしたこととは特に関係なく進みます。それぞれの設定を知らないで読んだら、何も気づかないままに読み終わるのではないでしょうか。

 では、二人を主役にした作品で描かれるのが何なのか。というと、ケイン家代々のお墓での話になっています。

墓荒らしの退治を起点にして、墓地で出会う二人。Xanthe Zhouは魔法系キャラクターらしく(Spirit World未読のため筆者には良く分かっていません)、家族の墓を前に色々と思うケイトに寄り添う――という展開になります。

 ベスの墓が普通にあるのが謎ではあるんですが(生存が分かった段階でどうにかするものなのではないんでしょうか、いずれは使うものだからそのままにしてあるんでしょうか?)、バットマン同様に家族を早くに亡くしたケイトの思いが印象的な一話でした。