2023年9月24日日曜日

Batman: Li'l Gotham Vol. 1 感想 -かわいらしさと切なさと-

  Batman: Li'l Gotham のVol. 1を読みました。このLi'l Gothamのシリーズは子供向けで、可愛らしい絵柄でバットマンを中心としたヒーロー・ヴィランたちの行動を深刻にならないくらいに描いています。この本では一年の様々な行事がテーマらしく、それぞれの時期に合わせてゴッサムの人々の姿が取り上げられています。

 子供向け作品なので大人向け作品のような悲惨な事件は描かれなくてあたりまえなのですが、可愛いだけではなくどこか切ないという印象を受ける一冊でした。

【基本情報】
Written by: Derek Fridolfs, Dustin Nguyen
Art by: Dustin Nguyen
Cover by: Dustin Nguyen
発行年 2013年


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 一年の行事を背景にゴッサム市の人々を描いていくというスタイルなので、実質的には短編集です。印象に残ったのは、

  •  「今後はいいことをする」と決意したものの、ハーレイ・クインとポイズン・アイビーに誘われて結局は相騒動を巻き起こすキャットウーマン
  •  お父さん(ジェームズ・ゴードン)と食事に行くバーバラ・ゴードン。席がなくてRa's, Talia al Ghul父娘と相席になりドタバタ展開に
  •  ダミアンの稽古相手として登場したはずが、なぜかダミアンの悪友ポジションに収まっているカタナ

 あたりのエピソードでした。特にカタナさん、普段のコミックですとダミアンとは親子ほど年が離れているような気がするのですがこの作品ではダミアンの少し年上くらいになっているらしく新鮮でした。

 一番切なかったのはMr. Freezeの物語です。 久々にアーカム精神病院から解放された彼は、町がとても優しくなっているのに気づきます。この優しさをそのままにしておこうと彼は町を凍らせようとするのですが、結局そのためにまたアーカムに逆戻りすることになってしまいます。彼自身の優しさは誰かに理解してもらえることはないのか――というのが見どころになっている一篇だと思います。