2025年2月11日火曜日

Zatanna: Bring down the House感想 -Blacl Labelならでは-

 Zatanna: Bring down the Houseを読みました。Black Labelで展開された、ザターナ主役の作品です。他のコミックとはほぼ関係なく話が展開します。

 

【基本情報】
Writer: Mariko Tamaki
Art by: Javier Rodriguez
Cover: Javier Rodriguez
Colorist: Javier Rodriguez
発行年 2024年


公式サイトはこちら (#1)。

https://www.dc.com/comics/zatanna-bring-down-the-house-2024/zatanna-bring-down-the-house-1


Amazonのサイトはこちら (#1)。




 マジックショーを上演するザターナ。彼女はあくまで手品師であり、魔法を使ってはいなかった。実は子供の頃のある事件が原因でザターナは父を失い、魔法を使えなくなっていたのだ。魔法とは縁を切った人生を選んでいたザターナだったが、そんな彼女を魔法の世界の住人たちは放っておいてはくれないのだった――というのがあらすじです。

 第一話でザターナの過去に何らかの悲劇が起きていたことは示されているので、読者はザターナと魔法の世界の住人達と一緒に、彼女と父親の二人に何が起きたのかを探っていくことになります。秀逸なのは魔法の世界の住人たちの性格と、それに一致したアートですね。ポップなアートですがどこか不穏な気配を漂わせていて、登場人物の誰も彼もが信用できないというスリリングな展開になっています。

 果たしてザターナの過去には何が起きたのか、そして彼女は真相を知った時どうなるのか――というのが見どころになっています。

  

 以下、ネタバレを含む感想です。

 

 実にBlack Labelらしい作品だと思いました。Black LabelはDCコミックスのキャラクターを使いながらも、他のコミックスと歩調を合わせる必要もありませんし対象年齢層も高め――なので、制作陣が冒険できるレーベルだと思います。

 ということで今回のザターナは、まさかのお父さんが悪役という展開でした。ザターナの場合、父のジョン・ザターラがヒーローとしては早く登場していて (初登場が1938年という早さ!)、ザターナはあくまで2世ヒーローなのでお父さんが悪役ということはそうそうないのですがまさかの話に。

 

 しかも親子で対決という場合、戦わなければならない苦悩が描かれるのが普通なのですが潔いくらいにその手の苦悩はありません。魔法の世界でいろいろとシュールな描写が続いているので何となく受け入れてしまうのですが、「特にためらいなく父親と戦って倒すザターナ」という滅多にないキャラクターとしてザターナが描かれています。


 さすがMariko Tamaki、限られたページ数でこれまでにない物語を見せてくれたなと思いました。