Batman: Urban LegendsのVol. 3を読みました。このコミックはゴッサム関係の様々なキャラクターを取り上げたアンソロジーという形式になっています。いくつもの短編が収録されていたVol. 2とは対照的に、この巻に掲載されているのは
・Batman (バットマン、ブルース・ウェイン)とZatanna (ザターナ)の話
・バットマンの犬、Aceの話
の2作です。この記事で取り上げるのはもちろんザターナの話です。
Writer: Vita Ayala
Artists: Nikola Cizmesija and Hayden Sherman
Colors: Nick Filardi
Letters: Steve Wands
発行年 2022年
この巻に収録されているザターナとブルースの話は、敵と戦うアクションものではあるのですが主題は二人の人間関係です。
ブルースはバットマンとして活動するようになる前(高校生くらい?)、ザターナのお父さんのもとでいろいろな手品のテクニックを学んだことになっています。ブルースとザターナはその頃からの付き合いで大人になってからも一緒にヒーローとして活動しているわけです。
この話では、かつてお互いに好意を抱いていた二人が、心をつなげる魔法に挑戦したところ封印されていた魔物を復活させてしまうことになる。何度も再封印を試みる二人だったが失敗し続け、関係も微妙に。大人になってからも再封印を試すが、失敗ばかりで二人の関係も悪化していく。新たな手法を考えまた封印しようとする二人だったが、却って魔物を勢いづかせてしまい……ということが語られていきます。
現代のシーンと回想のシーンを行ったり来たりして、若い頃~大人になってからの二人の思いを丁寧に描いているのがいいですね。若い頃の二人はとにかく可愛いです。大体なんですか、「心をつなげる魔法」って。青春にもほどがあるというものです。
しかしそんな甘酸っぱいいたずらが魔物を復活させてしまうので、若気の至りというか火遊びはやめましょうというか何というか。若い頃のちょっとした思い付きが後々まで続く一大事を引き起こしてしまうのは可哀想ですね。
補佐役的に登場するコンスタンティンも良かったです。今のザターナの恋人ですから、ブルースのジェラシーを煽る煽る。
思えばザターナとコンスタンティンのカップルもしょっちゅう付き合っては別れているわけですけど、基本的にはザターナがコンスタンティンを受け入れているのか拒絶しているのかで付き合っているのか分かれているのかが決まるカップルだと思うのですよね。ザターナの一存で決まるというか。
ブルースとザターナの場合、ブルースがザターナを強烈に拒絶することがあるのでどうにもならなくなるのだなあと思いました。
果たしてザターナとブルースは若い時の過ちをどんな形で修復するのか、二人の関係はどうなるのかというところが見どころになっている作品です。